21.1.27 チッピキ
ひさびさに電車に乗って街に出るが、ウイルスが怖い。
びっくりするくらいあからさまに、朝の電車に乗る人は急いでいて、余裕がない。
毎日毎日たぶん朝電車に乗るのを繰り返しているはずなのになぜに余裕がないのだろうか。
余裕があっても、つい習性でここぞとばかり急いでしまうのだろうか。
着いた先で、隣の席に座った人がじっとしていられない病で同じ机に座っているわたしまでも揺らされて、つい注意してしまう。
わたしは注意してしまう病がいつまでも治らない。注意したいやつと何かしらコミュニケーションを取らなければ気が済まないのだ。
自作のお弁当を公園で食べるのは生まれて初めてかもしれない。向こうでお弁当を食べてた兄ちゃんたちと戯れてた鳩がこっちにも来た。
鳥たちの公園
近所の公園は広くて池もあり、鷺の一群が暮らしている。
通常は人を避けて鷺たちは池や高いところにしかいないが、雨の日になると公園は彼らの支配下になる。
道行けば、通行人のように鷺たちが立っている。なぜかみな、池の中心に向かって立っている。
池には畳一畳くらいの孤島があって、ふだんみない鳥がいた。黒くて、胴が長くてなんだか遠目でもグロテスクだった。
あとで近付いて見ようと思っていたが、帰り道にふたたび戻ってくると、どこを捜してもいながった。
晴れた日、野球のグラウンドの芝生で鷺たちが日向ぼっこしていた。1羽は、猫や鴨が香箱坐りをするように腹這いになって休んでいた。
この一群は、午後の逆光で神々しく見えた。
21.1.25 夢ばかり見る
冬に猫たちがこぞってわたしの寝る毛布の上で寝るので、眠りがいつも浅く、夢をよく見るようになった。
しかも、猫の体重のため寝苦しいのでいやなかんじのする夢をよく見る。
いじめられる夢、仕事で失敗する夢、追いかけられる夢など。
でも今日の夢はお風呂から上がった夢だった気がする。猫の体温で暑かったのかもしれない。
今日はぽかぽか日和で、ベランダに出ても寒さを忘れてしばらく日に当たれた。
春の兆しかもしれない。時間は進んでいる。
魚卵とかめずらしい魚料理があるお惣菜屋さんに行く。見たことのない小魚の佃煮を買う。
鯛のあら炊きもあった。
夕方、日頃の孤独な生活の疲れが滲んでくる。
ひとは、気づかないうちに、または生まれながらに牢獄に入っていることはよくある。
21.1.19 未来形
猫がルンバの発車を目の前にして後ずさりする。ルンバは敷居を力づくで越えようとしている。ルンバを前にわたしの方をチラチラ見てくる。
洗濯物を外に干すと、冷たいだけなのか、湿っているのかわかりずらい。
部屋の中に取り込んで、エアコンの風邪にあてる。
夕飯後、皿洗いをしているときに猫たちに寒ブリを食べさせてやりたいと思い立った。
あした買い求めよう。
21.1.19 美容への道
目覚ましが休日用の時間指定になっていたせいで、いつもよりおそく起きる。
猫たちはいつも定刻どおりであり、天井近くの棚上にスタンバイしている。いつも猫たちはここからわたしを見下ろして起きるのをいまかいまかと待っているのだ。わたしが起きれば、朝飯にありつける。
昼、洗濯ものを干しているときに作り損じみたいなゆるい雪が降った。もっとちゃんとした雪が見たい。
眉間のしわが気になる。
ある人生の時期、なぜかずっと泣いて暮らしており、そのせいで20代なのに眉間にしわができてしまった。思い返せば、眉間のしわにはじまり、なんかこの時期にいろんな大事なものを捨ててしまっていたようにおもう。
とりあえずネットに載ってた眉間のマッサージをして気持ちをごまかす。
そのとき高価な美容液でしわが消えるというビフォーアフターの写真を見て、購買意欲が刺激されてあぶない。
猫たちはわたしが寝る前に歯磨きスナックを食べる。スナックをあげるのを忘れて、わたしが寝ようとしたら、ものすごい剣幕で寝室に乱入してくる。歯磨きスナックを食べると猫たちは異様によだれを出す。
1321.1.17 架空のアイドル
職場で山塚アイの話が出た。
その名を聞いたとき、とっさにいまどきのアイドルか地下アイドルのことか、と連想して、3秒後にその愛ちゃんの存在は消えた。
足が短く見えるような服の着方をしてしまって、帰宅後に姿見をみてショックだった。
でもほんとうに足が短い人間に生まれてしまったので、仕方ないのだ。
3つ願いを叶えてくれる魔神か妖精に出会ったら、中学生に戻ることと、太ももが細くなることと、イケてる両親から生まれることをお願いする。
近所の惣菜屋でアワビの煮物を売っていて衝撃だった。
昨日歯医者の帰りに買うチャンスがあったはずだが、歯医者の支払いで無一文になってしまい、叶えられなかった。
そのため、今日こそは、と出勤前に時間をつくって立ち寄るが、店は閉まっていた。
21.1.16 30円
午前歯医者に行って支払いが30円足りなくてかなしい。
帰りに買い物するつもりだったのに無一文でいそいそと家に帰った。
はずかしい。
今日は暖かかったような気がする。
こんな暖かい冬の日に恋をして幸せだったことを思い出す。
特急電車の小さく開いた窓から湿っぽくて生暖かい風が吹き付けてきてうれしかったあのとき。そのあと地獄を見たけれど。
エビチリを今日も作ってうまくいかなかった。
エビじゃない部分が多すぎてベチョベチョになって離乳食みたいになった。
猫は見向きもしなかった。