たなかようこ

一般市民のにっき

21.2.7 街を北上

 

家が街の南にあるとして、街の北にある職場に自転車で行くことにした。

その距離13km、片道1時間30分ほどだ。

自転車で街を縦断することで、なんだか自分の住む街の全貌を把握したような気になり、電車に乗っていてはわからなかった土地勘を獲得する。

この街は、真ん中に坂が多く、あとは平べったい。

川を隔てて街のかんじが変わる。こんなにたくさん川が流れていることすらいままで知らなかった。あと、大きな暗渠になった川もある。

今回は、自転車で通るのに抜群な人も車もいなくて平らな道、しかもずっと走っていられる長い道を見つけられてうれしい。その平べったい道はホテルかコンサートホールかセレブ的大建築と警備員さんしかいない。こんな世界があったのか。

人のかんじも場所によって違う。

街の真ん中に行くと、ほんとうに誰もがおしゃれになる。

おしゃれな人たちがおしゃれな店に列をなしているのを見た。

その店は、高級花屋のようなシックな外観だったが、よく見ると定食屋だった。

 

とても心持ち良くなる映画を観る。

無意識にまわりを不幸に導いてしまうような、ほとんど腐り切った人がいる。

その人にも家族や友人がいて、その人を気にかけてくれて、

その人はよい方向に変わっていき、その人のまわりもよい影響を受け、

みなが幸せになって終わる映画だった。

個人の内面がその人自身の本質を保ちながらも変わることはひとつの革命だなと思った。それは小さな革命だが、その人にとっては世界ががらっと変わる大胆で大きな勇気が要る革命であり、尊く美しい。

 

風呂上がり、自転車に乗って長い距離を走ることで、自分の体がたくましくなっているような気がした。特に肩と背中に筋肉がついたようで頼もしい。姿勢もよくなったような気がする。こうして自分もささやかにではあるが変わっていく。

 

猫たちは最近なんだかおとなしく、見やるといつも香箱座りで黙っている。

透きとおってきれいだとおもったイカの骨をひきだしに隠しておいたのに、

一匹の猫がそれを開けてしまって全部食べた。